次世代バイオ医薬品製造技術研究組合

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事業内容

Gene Therapy

事業概要

遺伝子・細胞治療薬製造技術開発事業では、日本医療研究開発機構(AMED)から受託した研究開発課題「遺伝子・細胞治療用ベクター新規大量製造技術開発」が2023年度で終了し、2024年度よりAMEDが実施している「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(遺伝子治療開発加速化研究事業)」における研究開発課題「ウイルスベクター製造技術の統合開発」に取り組んでいます。遺伝子・細胞治療薬の開発を加速するため、国内の関連技術を保有する産学官が結集し、治験(医師主導治験含む)等の実施を目指してウイルスベクター製造技術の統合開発を進めます。

研究開発体制

2024~2029年度「ウイルスベクター製造技術の統合開発」

本研究開発は大政統括PL(技術研究組合/大阪大学)が統括し、チーム1(株式会社ちとせ研究所) チーム2(大阪大学) チーム3(株式会社ユー・メディコ)チーム4(MAB組合)チーム5(国立医薬品食品衛生研究所) の5チーム体制で実施しています。

図 研究開発体制

研究開発項目

MAB組合、国立成育医療研究センター及びちとせ研究所が協力して開発したヒト組織由来ウイルスベクター産生用のオリジナルな国産細胞(HAT細胞)を用いた、AAVベクター、レンチウイルスベクターなどの遺伝子治療用ウイルスベクターの製造技術や分析技術を開発し、国内外の遺伝子治療に取り組む研究機関や企業に導出することを目指しています。

ウイルスベクターの製造工程 (例)

図 ウイルスベクターの製造工程 (例)

草津集中研

草津集中研があるタカラバイオ株式会社草津事業所

大阪集中研

大阪集中研がある大阪大学吹田キャンパス 産学共創C棟

過去実施した研究開発課題

2018~2023年度 「遺伝子・細胞治療用ベクター新規大量製造技術開発」

1.研究開発課題

高度化要素技術開発

  1. ①ウイルスベクター生産に適した細胞株の開発

    ヒト組織由来ウイルスベクター産生用のオリジナルな国産細胞(HAT細胞)の開発と特性解析

  2. ②ウイルスベクター生産に適した培地や生産条件の開発

    国産培地の開発と評価

  3. ③アップストリームにおける製造技術の開発

    浮遊培養に適した培養プロセスの開発と実証

  4. ④ダウンストリームにおける製造技術の開発

    高効率精製プロセス(清澄化、ポリッシング等)の開発と実証

  5. ⑤ウイルスベクターの物性や機能性に関する分析技術の開発

    高度分析技術開発と分析拠点整備、ウイルスベクターの評価

製造技術プラットフォームの開発

開発された要素技術を組み込み統合した製造技術プラットフォームの構築と実証

2.研究開発体制

課題全体

図 研究開発体制(課題全体)

MAB組合内

図 研究開発体制 (2024年4月1日現在)

3.研究開発成果

(1) 高増殖性と高ウイルスベクター生産性を有する国産のヒト組織由来オリジナル宿主細胞(HAT細胞)の開発

 MAB組合の細胞開発拠点である川崎集中研/ちとせ研究所及び成育医療研究センターにて、ウイルスベクター生産に適した国産の新規ヒト由来宿主細胞を開発しました。成育医療研究センターから提供されたヒト由来組織を用いて細胞分離及び不死化細胞株の作製を行い、HEK293細胞と同等以上の増殖性とウイルスベクター生産性を有するHAT細胞(Human Amniotic epithelial cell line for gene & cell Therapy:HAT細胞と命名)の樹立に成功しました。これまでに、特性及び機能解析を行うとともに、クローン化により単一細胞由来となる細胞株(HAT A2C1細胞)を構築済みです。HAT A2C1細胞は、 HEK293細胞に比べ高増殖性及び高AAVウイルスベクター生産性を有しており、遺伝子治療用ウイルスベクター製造への応用が期待されています。HAT A2C1細胞は一定の条件のもと、希望者に提供可能です。本開発は、日本政府の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づいて行われました。

HAT-A2C1細胞株の増殖およびAAV生産能

(A)(B) HAT細胞のクローン株(HAT_A2C1)と、HEK293細胞の派生株(VPCs 2,0, Gibco)の増殖性およびゲノム力価の比較。

HAT_A2C1は、HEK293を上回る増殖性と生産性を示した。125mLフラスコを用いた無血清浮遊培養条件下で、AAVベクターはトリプルトランスフェクションにて作製した。AAV2およびAAV5のゲノム力価はqPCRにて定量した。

(2) ウイルスベクター製造のための各種要素技術開発と統合プラットフォーム構築

 本研究開発事業に参加した各研究機関において、ウイルスベクターの製造プロセスに関する要素技術の検討が行われ、シード培養、拡大培養、プラスミドトランスフェクション後の生産培養、細胞可溶化液の清澄化、アフィニティ、ポリッシングなどの精製の各工程において新規技術や新製品の開発が進められました。本事業で開発した代表的な要素技術として、国産の培養リアクターを用いた培養プロセス(ZACROS)、細胞可溶化液の清澄化工程における前処理剤(カネカ)とろ過フィルター(東レ)、精製工程における完全粒子/空粒子の分離のためのイオン交換クロマト担体と精製プロセス(JNC、ワイエムシィ)、ゾーナル超遠心による精製技術(東京大学)等があります。

 開発した一連の要素技術を製造技術開発拠点である草津集中研に集約し、50Lスケールの培養液から完全粒子の精製までのAAVウイルスベクターの製造プロセス(統合プラットフォーム)構築を行いました。得られた完全粒子について、ゲノムタイター、完全粒子比率、カプシド等の分析等の評価を行った結果、高品質なAAVが高収率で製造できることが実証されました。

(3) ウイルスベクター製造のための高度化分析技術の開発とプラットフォーム化

 大阪集中研、大阪大学、神戸大学を中心にウイルスベクターの高度品質分析に必要な機器・装置類を整備し、分析技術開発拠点として立ち上げ、日米欧のガイドラインで求められているほぼ全ての分析をワンストップで行える体制を構築しプラットフォーム化しました。

 本事業で開発した高度品質分析技術により、従来に比べより少量のサンプルでの品質分析が可能となった結果、ウイルスベクターの製造プロセス開発における各工程での分析、評価が可能になり、小スケールでの効率的な製造プロセス開発が可能となりました。今後、本分析技術を用いることで、低コスト、迅速、かつ高効率な製造プロセス開発が進むことが期待されます。

(確立した品質分析法の例)

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